公益社団法人鶴岡青年会議所

理事長所信

-はじめに-

青年会議所は長きにわたり全国各地で「明るい豊かな社会」の実現にむけて「まちづくり」「ひとづくり」を実践し市民意識変革運動を行ってきました。1967年に創立された鶴岡青年会議所が50年という節目の年を迎えた今、私たちは、時代と共に変化する社会を取り巻く環境を見据えながら、理想を掲げ運動を展開し「明るい豊かな社会」の実現という崇高な創始の想いを次世代に継承する責任があります。

私は今、青年会議所の一員であり、1歳と2歳の子供をもつ母でもあります。2002年入会以来、様々な経験と多くの学びの機会を頂戴し、皆様とともに運動をしてきました。入会当時22歳だった私は、青年会議所の運動の意味をすべて理解していたはずもなく、運動をしていく中で、困難にぶつかったとき手を差し伸べ助けていただき、分からないことがあっても経験者に教わり、成功したとき喜びを分かち合い、失敗も経験しながら理解を深め、自分自身の考え方が変化していきました。そして妊娠・出産をしたときにも、同じことを感じました。どちらも想像と経験には大きな差がありました。それが一番の衝撃でした。しかし、様々な経験をしたことで、考え方や行動も変わり、子供たちの未来を想像したとき、私が理想とする地域の姿も明確になっていきました。私にとっての「明るい豊かな社会」は、この地域に住み暮らす人びとの、そして未来の子供たちまでもがその先の未来に夢を描き、笑顔があふれるまちを創造することです。そのためには、自分自身が率先して行動していかなければなりません。

【創始の想い】

「新しい日本の再建は我々青年の仕事である」と日本青年会議所が設立されました。戦後の復興と共に明るい豊かな社会に向けまちづくり、ひとづくり、その両方が今日まで続いています。時代や人は変わっても、脈々と受け継がれてきた創始の志は変わることなく青年会議所は存在しています。そして、今日までの先輩諸氏の運動が無ければ、今私たちがいる組織は存在しないのです。今後も運動を展開し確かな時代を築くためにも、力強く頼られる組織でなくてはなりません。地域に必要とされる組織とは、自分が住み暮らす地域のことを、誰かがしてくれるだろうと行政や人任せにするのではなく、実社会において様々な分野で活躍出来る人材の育成と、自らが率先して行動できる多くのリーダーを輩出するために存在します。

【壮志の想い】

すべては人の力です。すべては人の志です。「明るい豊かな社会」の実現に向け、メンバーの一人ひとりが勇ましい志を持って運動を展開することが必要です。次の世代にとって希望ある社会にするためにも、私たち大人が子供たちにとって「あこがれ」の存在となる「大人の背中」を見せて行かなければなりません。そのためには、今までの継続事業に加えより多くの地域の皆様と共にさらなる意識変革となる新しい事業に取り組んで参ります。

~50周年にむけて~

青年会議所運動をする中で、地域の方々との触れ合いで、様々な気付きや成長の機会をいただいています。今後も青年会議所の一員として、市民の一人として、よりよい地域になるように考え、様々な方向から波及できるリーダーとなって運動を発信していかなければなりません。50周年の節目を迎えたと同時に未来を見据え「明るい豊かな社会」の実現に向けて、さらなる地域の発展を目指した「鶴岡青年会議所としての未来のビジョン」を創造していかなければなりません。

~笑顔あふれるまちの創造~

私たちの住むこの鶴岡市・三川町は「国土のグランドデザイン」において消滅可能性都市に入っていますが、その要因は様々で、未婚晩婚、少子化、進学や就職のための若者の転出などが挙げられます。それらを打破するためには夢を語り叶える力がある地域と、子供から尊敬される大人のいる地域になることが必要です。そのためには、まず私たち大人が子供と共に学べる機会を作り、子供たちが「自分の将来について深く考えるきっかけ」を見つけられる環境づくりが重要です。笑顔は、自分や地域の活力になります。笑顔があるところに人は集まります。それぞれ職場や学校、地域での交流の中の会話や行動から笑顔が生まれます。家庭でも、子供の笑顔を見ると親は無条件に笑顔になります。そして、親から見るといくつになっても子供は子供です。その笑顔の連鎖を利用して、さらに多くの人の笑顔があふれるようなまちづくりをしていきます。

~LOMの未来を強化する~

地域のリーダーとなる先達が紡いできた青年会議所運動を続けていくために拡大活動をしてきました。私が入会した頃のメンバー数は100名を超えていました。しかし、今年度は80名弱でのスタートです。一人でも多くの青年が青年会議所に入会することで、共に地域のこと、未来のことを考え行動を起こすことができるリーダーがこの地域に増えます。そして、今後は女性メンバーの拡大も必要となります。今までは男性主体で運動を展開してきた青年会議所ですが、今の社会は様々な場面で女性の活躍も目にするようになり、女性の柔軟な発想や目線での事業展開が、これからの社会の発展にさらなる広がりを持たせます。今までとは違った方向からの青年会議所運動が展開できるとともに、さらなる可能性も広がります。

~子供の未来を創造する~

子供たちが様々な経験をすることは将来の大きな糧になります。学校での勉強はもちろん、子供たち同士のつながり、大人とのつながり、家族とのつながりが人格形成に大きく関わってきます。その中で重要になってくるのが健全な精神育成です。人を敬う心や徳ある行動は多くの人とのつながりから身についてきます。

私たちはそれを実践できる環境づくりを目指します。地域で頑張っている大人の姿をみた子供たちが、地域に誇りを持ち、将来の自分の姿が描けるように、様々な体験を通して幅広い分野で活躍できる人財の育成につなげます。

~有機的な地域との連携~

今年度、赤川花火大会は第26回を迎えます。昨年も多くの皆様からのご協力を賜り第25回という節目の回を迎えることが出来ました。本当に多くの方々との関わりを持ち、回数を重ねるごとに感動が増していますが、課題も増えつつあります。新たなる方向性を見出すためにも、今一度、先輩方の創始の想いを再確認し、守るべき伝統と新たな発想からの飛躍を大切にし、地域や他団体との連携を図っていきます。

そして、4年目を迎える「鶴岡お祭りウィーク」は、鶴岡の夏の風物詩となりつつあります。それぞれの特徴がリンクする事でより高いポテンシャルを持ったこの事業は、鶴岡の魅力をさらに引き出してくれます。さらなる地域活性のためにも、お互いに知恵を出し合い連携していくことが重要です。今後は目標を明確にし、一人では実現できないようなことでも、関係するすべての方々とのベクトルを合わせることで、実現できる力を発揮することが出来ます。

~コミュニケーションの確立~

青年会議所運動の様々な機会において「JCは出来るか出来ないか ではなく やるかやらないかだ」という言葉をよく耳にします。メンバー一人ひとりが皆と語り合い、問題や自分自身とも真摯に向き合い考える時間をつくることで、メンバー同士のコミュニケーションから相乗効果が生まれ、やらない選択肢を選ぶのではなく「やる為にどうするか」というポジティブチェンジに変わります。それが一人ひとりの「志」を持つきっかけとなりリーダーとしての自覚が強化されます。

また、シニアメンバーとのコミュニケーションも重要となります。今までの経験やその歴史、シニアになってからこそ見える地域や現役メンバーの姿があると思います。シニアメンバーとの語らいが私たちの視野を広げるきっかけとなります。

~平等に与えられる学びの機会~

青年会議所は「青年の学び舎」とも云われます。入会が一つのきっかけとなり地域のことを知ることから始まり、調査・研究をし、深く考え、問題解決のために事業という形にして実践することができます。しかし、青年会議所の背景や目的を深く理解する間もなく、在籍年数が少ないまま卒業されるメンバーが多い今、縁あって入会され、その機会を得たのですから一人ひとりが青年会議所運動の基本を学ぶ事も必要です。青年会議所では、地域の枠を超え、育った環境も年代も職業も違う様々な同志と一つの事柄に向き合う事ができ、交流をしながらお互いに刺激をうけ、個人のスキルアップに繋がる学びの機会が多くあります。全国各地に赴き、その土地のことを知り、全国の同志の運動を体験できる各種大会も一つの機会です。その運動の一つひとつを理解し、共有できる啓発運動を実践し、全メンバーの学びの機会を逃さないように周知徹底を実行します。それがきっかけとなり地域のみならず、より大きな枠で物事を捉えられる考え方も生まれます。

そして、シニアメンバーの皆様にも、その時々の事業が目に見え、多くの運動に対してご理解・ご協力を仰ぎ、幅広く運動を展開できるような環境づくりを目指します。

-結びに-

【相思相愛】

『相思相愛』一般的にこの言葉の意味は「互いを恋しく思うこと愛おしく思うこと」です。

今年度、私が掲げる『相思相愛』は、人と人。人と地域。人と社会。人と組織。組織と組織。それぞれが互いに意志疎通できることです。そして「創始」という歴史と「壮志」という未来のつなぎとなることです。すべてとの事柄と相思相愛になる為のキーワードは「機会の提供」Opportunityです。まずは、青年会議所に所属している全メンバーが、すべての事柄を「機会」と受け止め、自らが進んで掴むことができる環境づくりを実践します。そして、その一つずつを順番に解決していくことで達成感が生まれ、自分が体験したことは熱く語りつなぐことができます。それが「ひとづくり」「まちづくり」それぞれの運動の一歩になると考えます。

一つひとつの機会に真摯に向き合い、より多くの笑顔と愛があふれる人が住まう地域を創造し、全てとのつながりが相思相愛になるための運動を展開しましょう。